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GORDON GOODWIN'S BIG PHAT BAND "25th Anniversary"

artist GORDON GOODWIN'S BIG PHAT BAND

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

スウィング、ラテン、ファンク、シンフォニーの要素を盛り込んだ音作り、超絶的なテクニックとエンタテイメント性の共存、アメリカ西海岸直送の明るさと華やかさ。現代のビッグ・バンド界を牽引するビッグ・ファット・バンド(BPB)が4年ぶりに登場、その名も"25 Years of Phatness"と題する25周年記念公演を開催中です。

開演時間に少々先駆けて、バンド・メンバーが次々と登場して位置につきます。間もなく開演時間となり、リーダー/アレンジャー/ピアニストのゴードン・グッドウィンが登場。ラメの入ったジャケット、青いシャツ、黒いネクタイで決めた姿、力強く声を張ったMCは、まるで俳優のようです。ステージ左右のモニター画面にはBPBのロゴや、楽曲のタイトルや作曲者名が映し出されます。オープニングは「T.O.P.Adjacent」は、カリフォルニアのベイエリアで産声をあげたブラス・ロック~ファンクの老舗グループ"タワー・オブ・パワー"(TOP)へのトリビュート。BPBの花形奏者であるエリック・マリエンサル(元チック・コリア・エレクトリック・バンド)が、アルト・サックスで激烈なブロウを展開して、満員の客席から猛烈な歓声や拍手を引き出します。

"BPBは時代やカテゴリーにとらわれない音作りをする。次にお届けするのは、約100年前に作られた曲だ"というMCから始まったのは、ジョージ・ガーシュウィンの「Rhapsody In Blue」。ジャズとクラシックの接点を求めたといっていい一曲で、リアルタイムでは賛否両論だったとも伝え聞きますが、いまなお独創的なヴァージョンが次々と生まれている、聖典の名にふさわしい作品です。BPBは原曲に登場するクラリネットのパートを生かしつつ(名手アニバル・セミナリオが演奏)、時に踊りだしたくなるようなスウィング感、奔放なアドリブ・ソロ(ライアン・ドラゴンのトロンボーン、ブライアン・スキャンロンのテナー・サックス)を交えつつ、実にカラフルな「Rhapsody In Blue」を届けてくれました。新曲の「Glitch In The Simulation」も実にスリリングな一曲で、ギターとベースとバス・クラリネットによるユニゾン・パート、突如マーチ風のリズムに変わってから演奏される超絶的な長いフレーズ(第2テーマというべきでしょうか)のインパクトは格別でした。

現在ヒット中のピクサー映画『インサイド・ヘッド2』でヴォーカル・コントラクターを務めているヴァンジー・ガンは、今回も圧倒的な歌唱力でBPBにさらなる輝きを加えます。「Everywhere U Look」では広い音域を使ってほぼスキャットで通していましたが、音の跳躍の激しいメロディ・ラインであっても、"その場所への声の当て方"は鳥肌もの。ホーン・セクションへの溶け込み方も見事でした。そして"Let Yourself Shine"という歌詞を持つ「Shine」では、パーカッションが利いた音作りの中で、メリハリを利かせながら歌いこみます。滑らかな歌声、リズムへのノリの良さ、歌詞の聞き取りやすさ、音程の美しさに、私はのめりこむばかりでした。

初日のファースト・セットでは、加えて「Backrow Politics」、「Jazz Police」など大人気曲も披露されましたが、ゴードンがMCで語るところによると、BPBは100曲ぐらいレパートリーを用意しているとのこと。5日まで続く公演で、果たしてどんなナンバーが飛び出すか。思いっきり楽しみにしながら、BPBの25周年アニバーサリーに足を運びたいものです。
(原田 2024 10.3)

Photo by Yuka Yamaji

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【LIVE INFORMATION】

GORDON GOODWIN'S BIG PHAT BAND
"25th Anniversary"
2024 10.2 wed., 10.3 thu., 10.4 fri., 10.5 sat. ブルーノート東京
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